生活に欠かせない電気や水道には、電線や配管といった多くの銅製品が使われています。
それらの役目を終えた後に発生するのが「銅スクラップ」です。
銅はリサイクル効率が非常に高く、何度でも繰り返し使用できる資源として世界中で注目されています。
この記事では、銅スクラップとは何か、その種類やリサイクルの仕組み、買取相場や高く売るポイントまで詳しく解説します。
銅スクラップとは?
銅スクラップとは、役目を終えた銅製品や銅を含む部品などから回収される廃銅のことを指します。
家庭や産業の現場で使用された後に不要となった銅線、銅管、モーター、電気設備、家電機器などに含まれる銅が主な対象です。
銅は導電性・耐食性・熱伝導性に優れており、電線、配線、給湯器、エアコン、自動車部品、建築資材など、非常に多くの分野で使用されています。
一度使われた銅であっても性質がほとんど変わらず、再精錬によって何度でも新品同様に再利用できるという特性があります。そのため、銅は「リサイクル性の高い金属資源」として世界中で注目されています。
近年では地球環境への配慮、資源の有効活用、循環型社会の実現を背景に、銅スクラップの価値はますます高まっており、スクラップ業者や資源リサイクル企業を中心に活発な取引が行われています。
銅スクラップの主な種類
銅スクラップにはいくつかの種類があり、銅の純度や状態によって買取価格も大きく異なります。
以下に代表的な分類を紹介します。
ピカ銅(1号銅)
ピカ銅とは、酸化や塗装のない光沢のある銅で、最も純度が高いスクラップとされています。
電線の被覆を剥がした裸銅線などがこれに該当し、再精錬にかかるコストが低いため、スクラップ市場では最も高値で取引される銅です。
2号銅(下銅)
2号銅は、多少の酸化や汚れがある銅スクラップで、純度はピカ銅よりも若干劣ります。
剥離されていない電線、古くなった銅配管、設備配線などがこのカテゴリに入ります。比較的高値で売却できますが、ピカ銅ほどではありません。
雑銅
モーター、変圧器、給湯器、家電製品など、さまざまな部材に混在している銅を含む金属スクラップの総称です。
他の金属や樹脂、ゴムなどと一緒になっているため、選別や解体の手間がかかる分、買取価格は低めに設定される傾向があります。
銅合金スクラップ
黄銅(真鍮)や青銅などの銅合金もスクラップとして再利用されます。
これらは銅に亜鉛や錫を加えて加工性を高めたもので、主に水道管部品や装飾品に使用されています。銅の含有率によって価格は異なるので注意してください。
銅スクラップの価値が高まる背景
世界的に見ると、銅の需要は年々増加しています。特に中国、インドなど新興国の経済成長に伴うインフラ開発、また近年では再生可能エネルギーの普及や電気自動車の普及拡大により、銅の需要は飛躍的に伸びています。
電気自動車はガソリン車に比べて約2〜3倍の銅を使用すると言われており、今後もその需要は増えると予測されています。
一方で、新たな銅鉱石の採掘には大きなコストとエネルギーが必要となるうえ、環境負荷も大きいという課題点が大きな課題です。
こうした背景から、既に使用された銅を再利用する「スクラップリサイクル」の重要性が高まり、銅スクラップ市場への注目が集まっているのです。
銅スクラップのリサイクルの流れ
銅スクラップのリサイクルは以下のようなステップで行われます。
解体業者、工場、建設現場、家電リサイクル施設などから銅を含む廃棄物が回収されます。
個人が不用品として持ち込むケースもあります。
銅以外の金属や不純物、プラスチックなどが取り除かれます。
スクラップの種類ごとに分別され、状態に応じた処理が施されます。
運搬しやすく、精錬しやすい形に加工されます。圧縮、切断、粉砕などの処理が行われます。
溶解炉で高温により溶かされ、インゴット(銅の塊)として再生成されます。
この再生銅は、電線、配管、機械部品などさまざまな新しい製品の原料です。
銅スクラップの価格相場と市場動向
銅スクラップの価格は、主にロンドン金属取引所(LME)における銅の国際相場を基準に日々変動します。加えて、為替レート、世界的な景気動向、国内外の需要と供給バランスなども価格に影響を与えます。
景気が好調なときは建設需要や自動車生産が活発になり、銅の需要が増加して価格が上昇する傾向があり、原油価格の高騰や戦争、政情不安などの外的要因も市場を左右します。
国内のスクラップ業者では、ピカ銅で1kgあたり1000円以上で取引されることも珍しくありません。
一方で、雑銅などは200〜500円程度にとどまることが多く、種類によって大きな価格差が生まれます。
銅スクラップを高く売るためのポイント
銅スクラップをできるだけ高く売却するためには、いくつかのコツがあります。
- 電線の被覆を剥がしておく(ピカ銅にする)
- 不純物や他の金属を取り除く
- 複数の業者に見積もりを依頼する
- 地域のスクラップ相場を事前に確認する
- 大量にまとめて売却する
また、業者によっては出張買取や法人契約による定期回収なども対応しているため、ニーズに応じて選ぶことも重要です。
【まとめ】銅スクラップを捨てるのはもったいない!業者に売るのがおすすめ!
銅スクラップは、資源循環型社会の実現に不可欠な貴重なリサイクル資源です。
特に銅は、再利用しても品質が劣化しないため、世界的に注目されています。
ピカ銅や2号銅、雑銅などの種類ごとに異なる価値を持ち、市場相場に基づいて日々価格が変動しているので捨てるより売業者に買取りしてもらうことがおすすめです。